我孫子市 シンディング・ラーセン・ヨハンソン病

ジャンパー膝と区別するべき疾患がある

 

大きな太ももの筋肉の大腿四頭筋は膝を通って、膝のお皿(膝蓋骨)を包むようにして膝蓋靭帯になりスネの骨の脛骨にくっつきます。

スポーツでジャンプやランニングを繰り返すことにより、その大腿四頭筋が疲労して硬くなると、膝蓋靭帯も上方向へ引っ張られて膝蓋骨の部分で摩擦が発生しやすくなります。

この摩擦により膝に痛みを発生させるのがジャンパー膝で、ジャンプ力の高い選手にみられることが多いといわれていますし、多くは骨端線の閉じる15歳以降に発症します。

炎症により痛めている部位が膝のお皿の下にあって太ももの前の筋肉とつながっている膝蓋靭帯なので、膝蓋靭帯炎とも呼ばれています。

 

症状の現れ方は4期に分類されていて、1期はスポーツ開始直後に膝蓋骨の直下か直上に疼痛が起こるのですが、特別スポーツをするのに支障のないことが多い時期です。

ただし、何の処置もしないでそのままスポーツを続けていると2期に進行して、運動開始時と運動後に痛みが生じます。

しかし運動中には一時的に疼痛が軽快・消失するようになるので、この2期時点ではスポーツを継続することが可能なことが多いのです。

でも専門医の診察が必要な時期であることも確かです。

さらに進行して3期に進むと、痛みのためにスポーツの継続が難しくなってしまいますし、4期になると膝蓋腱の断裂が生じてしまいます。

痛みについてはダッシュやジャンプの動作で特に強く、ジャンプでは着地動作での症状が強くなる傾向がみられます。

 

ジャンパー膝の治療方法は、基本的に保存療法としての安静、大腿四頭筋のストレッチ、テーピングやサポーター・温熱などの理学治療、消炎鎮痛薬の投与などを組み合わせて実施されます。

症状が比較的軽い場合には、先にも触れましたがストレッチの併用でスポーツ活動の継続は可能です。

ただし、2期以上に進行している場合については、ジャンプ動作の制限やスポーツの休止が指導されますし、スポーツを継続する場合には膝関節の深屈曲動作を避けるようにする必要があります。

症状が強く難治性の場合については、膝蓋腱の変性部分の切除や膝蓋骨へのドリリングなどといったことを行う手術が施行されるので、できる限り症状が軽い状況で治療するように心がけることが大事です。

 

それから治療する上で、診断において区別するべき疾患として、オスグッド・シュラッター病、シンディング・ラーセン・ヨハンソン病、大腿四頭筋総腱炎などがあります。

オスグッド・シュラッター病は、10~15歳と年齢的にやや若い時期に発症するもので、膝蓋腱と脛骨の境目に痛みが生じて、幹部が骨性に隆起をします。

この症状などにより容易に区別することができます。

シンディング・ラーセン・ヨハンソン病に関しても、10~12歳と発症年齢がやや若年で、単純X線像で膝蓋骨下端に石灰化像や骨下像がみられるので、判別することができます。

大腿四頭筋総腱炎も発症年齢はほぼ同じなのですが、疼痛の部位が膝蓋骨の上方で大腿四頭筋との境界にあることので、それにより区別することは可能です。

適切な治療をするためにも、診断において区別するべき疾患があることを知っておくと良いです。